尾道 足利尊氏を弔うため「天寧寺 三重塔」

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 もとは五重塔でした。なぜ、五重塔として修復せずに、三重塔に変えてしまったのか、その理由はよくわかりません。尾道には、壊れてものでも何かしらの物語をつくり、再利用する風土があります。商人たちは、物語をつくることで、商品の価値が永く続くことを知っていました。そのような風土が三重塔にして残すに至ったのでしょうか。いずれにしても珍しい塔です。

尾道 「五重塔から三重塔へ」珍しい「天寧寺塔」

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 ここには珍しい三重塔があります。当初は五重塔だったのですが、その後、四重と五重の傷みが激しくなったため、四重と五重を取り除いて、三重の上に新たに屋根をかけ、三重塔に姿を変えているのです。重要文化財に指定されています。建立は1388年(嘉慶2年)。三重塔に姿を変えたのは、それから300年後の1692年(元禄5年)のことでした。
 本当に最初は五重塔だったのだろうかと疑う人もいるかもしれませんが、まず、五重塔の姿で描かれた古い時代の掛け軸が残っている。それに加えて、この三重塔は心柱が下まで通っている。五重塔では心柱を下まで通しますが、三重塔では初重の上から心柱を立てるのが普通です。梁の上に心柱を立てるのです。