尾道 海雲塔とも呼ばれた「天寧寺三重塔」

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 当初は五重塔だったのですが、その後、四重と五重の傷みが激しくなったため、四重と五重を取り除いて、三重の上に新たに屋根をかけ、三重塔に姿を変えているのです。
 本当に最初は五重塔だったのだろうかと疑う人もいるかもしれませんが、まず、五重塔の姿で描かれた古い時代の掛け軸が残っている。それに加えて、この三重塔は心柱が下まで通っている。五重塔では心柱を下まで通しますが、三重塔では初重の上から心柱を立てるのが普通です。梁の上に心柱を立てるのです。
 なぜ、五重塔として修復せずに、三重塔に変えてしまったのか、その理由はよくわかりませんが、五重塔として再建して、再び四重、五重が傷んでしまったら困ると考えた人がいたのかもしれません。いずれにしても珍しい塔です。
 (「宮大工と歩く千年の古寺」(松浦昭次著)より)