PHP文庫
2004/10/20
そ01-10
曾野綾子
自分をまげない勇気と信念のことば
他者との関わりのなかで、自分の価値観を削られていく人たち。他人の言葉を鵜呑みにし、人と同じことを繰り返す、これほど味気ないことはあるまい。人生は、人と違うからこそおもしろい。「叶えられない希望を追うのが人生の美学」「凋落は人間に対する愛である」「現実と折り合えることが強さの証拠」---現実というカべ、生と死、世の中の善と悪を見据え、自分を失わずに生きる人々へ向けた箴言集。
私たちの生活は、皆、どうにかやっているというものだ。理想とは程遠い現実と折り合って暮らしている。しかし折り合えることが、健やかな強さの証拠である。
むしろ家庭に庭がなく、県庁に森がないことは、重大な貧困であり、自然破壊だ、と思いつめる方が歪んだ考え方だと思う。森を作るというだけで、俄に気分が高揚し、それだけでもう自分は「自然に優しい」人なのだと魔法にかけられたように思い込む方が、ずっと不健全で気味が悪いのである。
本書「項目86」(『流行とLての世紀末』)より
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