浄土寺山 不動岩
尾道市東久保町  標高:133.8m
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 浄土寺山は瑠璃山の別名をもつ。

 その8合目あたりに巨石が「不動岩」です。巨岩に不動明王が刻まれています。

 不動明王は、真言宗をはじめ、天台宗、禅宗、日蓮宗等の日本仏教の諸派および修験道で幅広く信仰されています。
 密教の根本尊である大日如来の化身で「お不動さん」の名で親しまれ、大日大聖不動明王、無動明王、無動尊、不動尊などとも呼ばれており、特に日本において根強い信仰を得ております。真言宗では大日如来の脇待として、天台宗では在家の本尊として置かれる事もあります。

 浄土寺山の麓に真言宗の浄土寺があり、不動明王を刻み込んだのでしょうか。

 この巨石の上部が展望台になっています。上から岩を見ると、大阪城築城のため岩を割ろうとしたのか、彫ったくぼみがいくつかあります。
  不動岩の下にあった行者堂は今はもう無い。

 江戸末期の木版画にはすでに描かれており、年号作者らと岩のまわりをみまわしたものの発見できず。
(岩の向きと背景は、現実には一致しません)
 不動明王は大日如来の使者。

 右手に剣を持ち、左手に羂索(けんさく)(縄)を持つ。その剣で煩悩(ぼんのう)を断ち切り、羂索で煩悩を縛り、人々を救う。
 この不動明王の彫りはみごとである。花闘岩を彫ったとは思えないくらいレリーフのやわらかさが際立)つ芸術作品である。ここにも尾道の石工の技が存分に発揮された文化が残っている。
 尾道で最大の磨崖仏である。
(隠された神話「歴史都市・尾道の謎」 稲田全示著より)
【民話:岩から抜け出した不動明王】

 瑠璃山(浄土寺山)の頂上近くの大岩にのみの跡も鮮やかに彫られた不動明王が、尾道の町を見下ろしています。
 この不動明王がまだ苔く、血気盛んなころのことで
す。
 町の灯がともり始め、にぎやかな三味線の音にあわせた歌が聞こえてくると、不動明王はもうじっとしておられません。体をムズムズと動かしたかと思うと、岩から抜け出しました。
 なにしろ、身の丈8mもあろうかという不動明王で






すので、

 うんとこどっこい一またげ

 一つ渡って浄上寺の谷

 ニまたぎすれば勤番所

 も一つまたいでちょぼが橋

と、三またぎもすれば、そこはもう行きつけの飲み屋。ホロ酔い機嫌で帰ってくる毎日でした。

 ある月のきれいな夜のこと。不動明王、人目をしのんでほうかむりし、いつものように一またぎした浄土寺の谷で、小さな声を聞きました。それは足元のお地蔵さんの声
 お地蔵さんや、わしは行きつけの店へ行くから、お前さんもどこかで遊んできなさい。いっときしたらちょぼが橋で落ち合うて、一緒に帰りやんしょうや」

 不動明王は、なじみの飲み屋で、一杯のつもりがつい二杯、三杯となってて、すっかりいい気分。

「さあて、そろろそろ帰るかのう」
と、もうお地蔵さんのことなどまるで忘れてしまって、一またぎ、ニまたぎ、三またぎと瑠璃の山に帰り、赤い顔をして岩の中におさまりました。

 こちらは、やっぱり赤




 不動岩の上からの景色
 尾道水道が何の障害もなく見渡すことが出来る。冬の時期は、夕日が西の海に沈み、絶景になります。(ただし、登山道には照明がないため、懐中電灯をお持ちください。)
でした。
「不動さま、不動さま、毎晩毎晩ここを通って楽しそうに行きなさるが、いったいどこにお出かけですかいのう」
「おお、お地蔵さんか。こんな谷問の道端にいたんじゃあ、町のにぎわいも知らずじまいじゃな。よし、
わしの足の指に乗るがよい。今夜はひとつ、町へ連れていってやろう」
 不動明王は、地蔵さんを足の指に乗せると歌うように言いました。
「一またぎすれば勤番所、も一つまたいでちよぼが橋…」









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