金毘羅は本名をクビラといい、もとインドの恒河に棲んた魚王、鰐魚で、このワニ先生は人を食べ船を沈めるなど人々におそれられ、あるとき偉い坊さんにあい説経されたことから中インドの象頭山に登り、釈迦の説法を聞くや一転して神さまの位までのぼり、のちに仏さまの医学博士といわれる薬師如来につかえ同如来十二神将の筆頭までのぼり、その家来が鳥天狗である。
さて何時ごろから置かれたものかわからないが、その両側にある玉垣に天保九年(1838)の年号が刻まれ、これと同じ頃となれば約百八十年ほど前のことになる。
金毘羅大権現の配下は天狗が多かったそうで、人々の願いを金毘羅大権現にお伝えすることが天狗の役目である。カラス天狗は嘴を持っているのが特徴で、たとえよい行いをしても決して自分からは言わない。一方、一般によく知られているのは鼻高天狗はすぐに自分の行いを自慢したがる。「鼻が高い」という慣用句はこのためらしい。このカラス天狗、見下ろされているだけに威圧感がある。
(「隠された神話」歴史都市・尾道の謎 稲田全示著より)
巨大なカラス天狗の作り物
金比羅社に使えている天狗の中の1人で「カラス天狗」という。金比羅山がピークとなった江戸時代からここに居座っているという。
この石面を「願いをかなえてください」と祈りながら持ち上げます。
願いがかなうようであれば軽く持ち上がり、かなわないときは重くて持ちあげられないそうです。
「重軽さん」と呼ばれている天狗の石面。
金毘羅大権現様の眷属で三天狗と呼ばれ、カラス天狗、大天狗、小天狗とあり、願い叶うなら軽々と、願いかなわなければ重々と、石顔石頭ではあるが、何時の日か、その願かけがよく当たるので、人呼んで重軽天狗と名付ける。(案内板より)