【民話 知恵くらべ 力くらべ】
栗原の済法寺に、拳骨和尚と呼ばれているたいへんカの強い和尚様がいらっしやいました。
この和尚様の大力の話は、今でも人々の間に多く伝わっています。
そんな力自慢の和尚様も知恵では、西国寺の和尚様にはかないませんでした。
ある目のこと、拳骨和尚様が天文を占っているとお昼からにわか雨が降ると出ましたので、これはひとつ、西国寺の和尚様を困らせてやれと思いました。それで
「急用ができましたので、お昼過ぎごろぜひお出でください」
見るのは初めてなのでたいへん驚かれました。
「あなたのカの強いことにはまいりました。が私は知恵を持っています。あなたのカと私の知恵を合わせたならば、今まで以上に人々を助けることができると思います」と、西国寺の和尚様はおっしやいました。済法寺の和尚様も、この言葉には深くうなずかれました。
それ以後二人の和尚様は、いっそう町の人々から親しまれ、敬われたということです。
尾道民話伝説研究会 編「尾道の民話・伝説」
(2002年5月
と使いの者を出しました。
それを聞かれた西国寺の和尚様は、天文を見て今日は昼からにわか雨が降ると知っていましたし、拳骨和尚様のいたずらもちゃんとよまれていましたので、小僧さんに雨具の用意をさせ、済法寺へと急ぎました。
待ちわびていた拳骨和尚様は、びしよぬれに
なって来るはずの和尚様が、ちゃんと雨具をつけていらっしゃるのでとてもくやしがりました。
「あなたは本当に知恵のあるお方だ。しかし私のこのカにはかなわないでしょう」と、裏の竹やぶに行き、竹を取るや肩にたすきをかけました。西国寺の和尚様は、かねがねこの方の大力は知っていましたが、