また、葡萄蒔絵聖餅箱(ぶどうまきえせいべいばこ)(国重文)は、たの表中央に蒔絵(まきえ)でIHSのイエズス会のマークが記され、その上には花形の十字架、下には三本の釘が円光で囲まれ、キリスト受難の十字架の釘を表し、キリスト教に関連した南蛮(なんばん)文化を伝える貴重な物です。その他、天秀尼(てんしゅうに)が父秀頼のために作った銅造雲版(うんぱん)や蒔絵の箱類、天秀尼画像などの絵画・古文書・縁切り証文など寺宝が陳列(ちんれつ)されています。
宝物館を過ぎてすぐ、参道の右側に石段があ)、公開されていませ
んが、山の上に世界的な仏教学者鈴木大拙(すずきだいせつ)ゆかりの「松ケ岡文庫」があります。
参道をさらに奥に進むと墓地があり、右手石段を上ると、右のやぐらの中に用堂尼・覚山尼といった住職の墓があります。中央の大きな石塔は、天秀尼の墓です。また、墓地内には西田幾多郎(にしだきたろう)・
和辻哲郎(わつじてつろう)・鈴木大拙・高見順など有名な学者や文学者の墓が多くあります。
鎌倉市教育委員会発行「かまくら子ども風土記(13版)」より