した。「た、た、たいへんじゃあ。い、いま、幽霊を見たんじゃ。女の、女の…。」作兵衛の様子を見て驚いた船頭たちは、作兵衛のそばに駆け寄りました。そして、お湯をすすめながら心配そうな顔をして尋ねました。「作兵衛さま、どうなされた。そんなに驚きなすっ…。」作兵衛から話を聞いた船頭の一人が、体をプルッと震わせました。そして、みんなの顔を見回しながら、小声で話し始めました。「わしも、変な話を聞いたんじゃ。今日の明け方、小田原まで行くという旅人が、川岸で船を
の社をたてることにしました。現在、厚木市上依知に浮島弁天社としてまつられているのが、その弁天様だと言われています。
「厚木の観光ボケットブック」(厚木市観光政策課発行)より
待っていたのだそうだ。すると、浮島のあった辺りで、金色のかんざしを頭につけた女の人が、水をかきわけて水面に浮き上がり、体をくねくね動かしながら、水の上を走るように泳いで、上依知の土手に上がって行ったということじゃ。…これはきっと、弁天様の化身じゃ。弁天
様がお怒りになっていなさるのじゃ。だから、わしらと同じ姿になって、このあたりに現われるのじゃ。くわばら、くわばら…」
このうわさを聞いた上依知村の人たちは、村の赤城(あかぎ)神社に集まりました。そして、作兵衛のすすめで、相模川の上依知側に弁天様