桃の節句に白酒を飲むようになったのは室町時代から。もともとは「練酒(ねりざけ)」といい、筑前博多産のものが有名でした。 江戸時代になると、毎年二月二十日ごろから三月十二、三日にかけて、桶を天秤棒で担いだ白酒売りが市中を売り歩いていました。
白酒売りの呼び声が聞こえると、女の子たちは雛祭りが近いのを喜んだそうです。寛政年間(1789~1800)の半ばになると羊羹(ようかん)を添え、「しろざけ、ようかん」と呼び声をかけながら売り歩いたそうです。男雛の中には、白酒を飲み少し赤ら顔になったもの
もあるようです。 江戸では雛祭りの終わった三月四日、雛人形をかたづける前に、軽く茄でた浅葱(あさつき)と浅蜊(あさり)の剥(む)き身で膾(なます)をつくり、雛に供えて食べるのが習慣になっていたそうです。