行基菩薩作「馬頭観音」
馬頭観音は動物霊から守ってくれる観音様で、馬のみならずあらゆる畜生(仏教において、鳥・獣・虫・魚などの全ての人間以外の動物のこと)類を救う観音ともされています。
馬頭観音という仏は六観音に含まれ、その名前は頭上に馬頭があることに由来しています。他の観音菩薩が温和で慈悲深い表情であるのに対して、馬頭観音だけは怒りを表す忿怒相となっています。その理由の一説として、優しく説いても分からない衆生を威嚇力で導く役割をもつため、このような恐ろしい形相をしているといいいます。馬は、天馬が駆けるようにこの世を自由に走りまわり、障害を駆逐する様子を象徴しています。自らは解脱せず、娑婆(しゃば)世界で悪と戦いながら人々の苦悩や煩悩を消し去ることを本願とします。
『観世音菩薩授記経』によると、坐禅をしている威徳王の左右に蓮華の花が咲いて、宝意(ほうい)、宝上(ほうじょう)という二人の童子が現れた。威徳王とともに仏の前に行った二人の童子が、最上の供養はなにかと尋ねると、仏は「菩提心を発して衆生を救うことです」と応え、二人の童子は無量の衆生を救う誓いを立てたのだった。後に、威徳王は釈迦如来となり、二人の童子は観世音菩薩と勢至菩薩になったという。
(「謎だらけ日本の神さま仏さま」山下昌也著より)
「勢至菩薩(せいしぼさつ)」
智慧を象徴する菩薩。阿弥陀三尊の一つで,阿弥陀仏の右の脇侍。勢至菩薩は観音の慈悲の心を糧にして、衆生に菩提心(悟りを求める心)の種子を植えているともいわれています。