「石の町尾道」を代表する不動岩がある。巨岩奇石が山をうめるなかにあって一段と高くきりたった商さ8mはあろう岩盤に忿怒の形相で不動朗王が立てる。右手に高々ともちあげる降魔折伏の利剣に貧欲(欲心が深いこと)瞋恚(いかり、うらみ)愚痴(おろかなこと)の三毒を切り払われる思いがする。
巨岩に仁王様が刻んであります。
江戸末期の木版画にはすでに描かれており、年号作者らと岩のまわりをみまわしたものの発見できず、残念なおもいをしながらさらに不動岩の頭にのぼると、尾道水道を中景に素晴しい風景が展開される。
「郷土の石ぶみ」(1973年 山陽日日新聞刊)より
みなと尾道の繁昌を物語る浮世絵。右端は浄土寺山の中腹にある不動岩。その下の行者堂は今は無い。船入場は薬師堂浜・住吉浜・荒神堂浜で、海岸には帆柱が林立ししている。正面の千光寺の玉の岩を「玉石」と記してある。