つけて、仁王さんが一歩も出られないようにしました。
仁王さん、本当は遊びに出歩かれたのではなく、町の安全を願って、夜回りをしてくださっていたのです。
仁王門の格子というのは、たいてい中ほどから上にはないものですが、西国寺のは仁王さんが出られなくするためのものですから、上までいっぱいに格子が打ちつけられてあります。
尾道民話伝説研究会 編「尾道の民話・伝説」 (2002年5月刊)より転載
仁王像
「あ(阿)」は口を開いて発する最初の字音、「うん(吽)」は口を閉じて発する最後の字音で、すべての法のはじまりと究極を象徴しています。密教では(阿)をすべてが生じる理念の本体、(吽)はそれらが帰着する智徳を意味するものとして大事にしており、阿吽ですべてのものを表象しています。
その立派な体格にあやかり、仁王の身体に紙を貼りつける、わらじを奉納する、子どもに両足の問をくぐらせるといった健康を祈願する庶民の信仰も生まれました。