円覚寺 鐘楼弁天堂
標高 59.1m
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 国宝の梵鐘があります。

 隣には弁天堂があり、その横の茶店では景色をみながらお茶や甘味をいただくことができます。




 弁財天は、弁天様などとも呼ばれて親しまれ日本的な神様になっているが、本来は外国から渡来してきた仏神です。
 もともとはインドの古代神話に登場する河の神・サラスヴァティという女神で、奈良時代に日本に入ってきてからは、川の流れの音からの連想で音楽の神、美音天(びおんてん)、妙音天(みょうおんてん)、また大弁才功徳天(だいべんざいくどくてん)などと呼ばれており、最初は知恵、名声、解脱を求める者に功徳ありとされました。
 やがて鎌倉時代になると、在来の水(海)の神である宗像三女神の一人市杵島比売命と習合し、純日本的な神様へとイメージチェンジしました。
 どちらの女神も美人の誉(ほま)れが高く、しかも有力な水神であったことから、結び付けられたのです。(「ツキを呼ぶ「神社・仏閣」徹底ガイド」 戸部民夫著より))
 北条貞時が、江ノ島にあった弁財天を円覚寺の鎮守として祀った。鎌倉幕府、あるいは、北条氏と江の島弁財天との関わりは、

 江島弁財天は、昔から福徳金運の神様として知らており、江の島に鎮座する江島神社は、江島弁財天、あるいは江島弁天、江島明神(みょうじん)などと呼ばれて親しまれてきた。
 もともと江島神社は龍神(りゅうじん)信仰から発したものであり、そこに仏教信仰が入ってきて神仏習合によって弁財天が融合したのが、鎌倉時代のこと。

 『吾妻鏡(あづまかがみ)』第二巻には、養和(ようわ)二年(1182)四月に源頼朝が江島で、平氏方の鎮守府(ちんじゅふ)将軍・藤原秀衡を調伏するために、文覚上人に弁財天を奉請供養(勧請して祀ること)させたとある。
 この数年後に頼朝は平氏を討滅し、鎌倉幕府を開いた。

 また、『太平記』巻五では、北条時政(源頼朝の妻・政子の父)が、江島に参籠して子孫繁栄を祈ったところ、二十一日目に美しい女性が現われて繁栄を約束した。
 そのあと美女は二十丈(約60m)ほどの大蛇(水神の化身)となって海中に去ったが、そのとき大きな鱗(うろこ)を三つ残した。それを神霊の証として北条氏の家紋にしたと伝えている。
 1301年の刻銘のあるもので、「洪鐘」(おおがね)と呼ばれている。
 総高259.4cm、口径142cmで、鎌倉時代の代表的な形態を表している(鎌倉で最大の梵鐘)。
 鋳造を頼まれた物部国光は、大きな鐘のため二度の失敗を繰り返すが、北条貞時が七日七夜江ノ島弁財天に参籠し、その加護によって三回目の鋳造で成功したのだという。
 『円覚寺鐘 正安三年八月大檀那平貞時 住持宋西澗子曇 大工大和権守物部国光在銘』

『皇帝万歳 重臣千秋 風調雨順 国泰民安』
(西澗子曇銘)
 北条貞時は、洪鐘鋳造の成功に感謝して弁天堂を建立。
 江ノ島にあった弁財天が円覚寺の鎮守として祀られた。
 弁財天は弘法大師の作ともいわれ、江ノ島の弁財天とは夫婦弁天と呼ばれている。

 61年ごとに行われる「洪鐘祭」で夫婦弁財天が出会うこととなっている(前回の祭礼は1965年(昭和40年)。)。




















 鎌倉市教育委員会発行「かまくら子ども風土記(13版)」より
 弁天堂。

 洪鐘鋳造の成功に感謝して弁天堂を建立した。
 急な石段を上ると、正面に弁天堂(べんてんどう)があります。その左側には、「正安三年」(1301年)の年号が記された梵鐘(ぼんしょう)(国宝)があります。この梵鐘は、北条貞時が物部国光(もののべくにみつ)に造らせた鎌倉時代の代表的な名鐘の一つで、高さは2.59mもあり、
関東地方最大の鐘です。また、鐘楼(しょうろう)の鰐口(わにぐち)には「天文九年」(1540年)の年号が記されています。弁天堂は、麓鐘が江の島弁財天(べんざいてん)の教えによって鋳造(ちゅうぞう)に成功したという伝説により建てられています。




 江ノ島にあった弁財天が円覚寺の鎮守として祀られている。
 奈良時代(710~794年ごろ)に入ると、神仏習合の傾向はますます強まりました。各地の神社は積極的に仏教の僧侶を招いて、境内にお寺を建てることを許可しました。結果、神社のなかの寺院、すなわち神宮寺が、あちこちに続々と建てられていきました。
 逆にあらたな寺院が建つときには、その寺院の
「鎮守(守護神)」として、神社を併設するといった習慣も、完全に定着します。その背景には、仏教が当時の最先端の科学や技術とセットになっていたという事情があります。仏教の僧侶は、そうした新知識を豊富に身につけたインテリでした。
 神社の関係者たちは、彼らを優遇してとりこむ
ことで、その新知識を神社の建築や運営にも、応用しようと考えたのです。



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