産女霊神、福子霊神の墓碑
昔は子を産めないことは罪だと考えられていました。
小町通り側裏口の出口へ
日本でよくいう産女(うぶめ)の霊の話なども、もとはただ道のかたわらに祀った母と子の神でありました。姿が弱々しい赤んぼのようでも、神様の子であったゆえに不思議な力がありました。道を通る人に向かって、抱いてくれ抱いてくれと母親がいうので、しばらく抱いていると
だんだんに重くなる。その重いのをじっと我慢をしていた人は、必ず宝をもらい、または大力をさずけられたのであります。それが後には、またある大師に行きあうて、かえってその法力をもって救われたという話に変わってきて、産女は普通の人の幽霊のごとくなってしまいました。
しかし幽霊が子供づれでくるのもおかしいことですし、福を与えるというのも、ますます似合いません。これには何かほかの理由があったのでしょう。
(「日本の伝説」柳田国男長より)