銭洗弁天宇賀福神社
鎌倉市佐助二丁目  標高:43.0m
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 窟内には清水が珍しく湧出していて鎌倉の名水の随一である。往時福神とか福人とかが銭を洗っていたといふ因縁から、この清水を銭洗井の名跡で僅かに語り伝へてゐる。
 この銭洗井に今日弁財天の北ってあることには不思議はない。佐介谷は平常寂しいところで、
一方稲荷社の参詣道には人家も少しはあるか、こちらの窟の方へは全くの野径そのままである。それが1年一度は大層な信者を引つけてゐた。世界大戦景気(第一次大戦のこと)の熾んなことがこの弁財天流行の絶頂と云ってよかったろう。信者は主として横浜あたりから来てゐた。
大正九年の春であったかと思ふが、人にすすめられて行ってみると、窟内は御幣や御蝋で一杯になってゐる。佐介稲荷でここも兼ねて受持ってゐると聞いたが、禰宜らしい人や俄神人たちが寄り集って御符を出してゐる。成程ひどい人出である。
(「鎌倉 趣味の史跡めぐり」長峰 五幸著より)




 銭洗い弁天では、あらかじめ置いてあるザルにお金を入れて、湧き水で清めるという習わしになっています。
 お参りして前の小さな池で銭やお札を洗っていく人が少なくありません。この池が鎌倉五名水の一つで、「銭洗水」と呼ばれていました。
 境内には、七福神をまつった神社や上の水神社・下の水神社など大小の社殿が、がけの中腹まで建っていて巡回して参拝できるようになっています。
また参拝者のための茶店もあり、巳の日は特に賑(にぎ)わいます。

 鎌倉市教育委員会発行「かまくら子ども風土記(13版)」より






 「霊水で浄めたお金を世の中に回して、その福がやがて巡ってくるわけですから、洗ったお金はしまい込むより使った方が良いでしょうね」、と。

 銭洗い弁天で洗い清めたお金を使うとその御利益がなくなってしまう、という話もあります。
 弁天様は宇賀神(うがじん)と同一視されることもある。宇賀神はよく色々な神と同一視される神で、もともと仏教では、すべての人々に福徳を授け、菩提に導く福神とされるが、日本では音が似ているところから豊穣・食物の神・宇迦之御魂命と同一視されている。他に、白蛇神などともいわれるが、
蛇は水にかかわりが深く、水の象徴ともされるので、水神である弁天様と結びついたようだ。弁天像の頭に、人の顔をした蛇がとぐろを巻いて乗っかっているが、これが宇賀神である。
 そして、地方によっては宇賀神と弁天様は夫婦として信仰されることもあるらしい。
 真言は「オン ソラソバテイエイ ソワカ」で、この真言を唱えれば、技芸が上手くなり、弁舌が立つようになるという。




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